花菖蒲は、日本で江戸時代から改良され発達した、日本の伝統的な園芸植物です。


花菖蒲とは

花菖蒲は日本の野山に自生するノハナショウブをもとに、日本で江戸時代から改良発達してきた日本産の園芸植物です。

江戸時代から改良が行われてきた地方の名称を取って、江戸系、伊勢系、肥後系などにわかれており、さらに近年、山形県長井市で保存されてきた長井古種や、キショウブというアヤメ科の植物とのとの交配による種間交配種、アメリカなどで改良された外国系の品種などが加わりました。

花菖蒲は、現在およそ2,000品種が存在すると考えられています。

花菖蒲についてのさらに詳しい説明は、伝統園芸植物 花菖蒲のページをご覧ください。

江戸系 翠 映(すいえい) 1992年当園作

 

大和時代、旧暦の5月5日に、サトイモ科の菖蒲(ショウブ)によって、邪気を払う端午の節句の風習が、中国より伝えられました。菖蒲はその清々しい香気と、草のなかでも一番に芽吹くことから、古来中国では、霊草と考えられて来ました。端午の節句の風習は、今日でも5月5日に菖蒲湯に入る習慣が残っています。

菖蒲(ショウブ)は、花が目立たないものであったため、菖蒲に草姿が似ており、美しい花の咲くアヤメ科の植物が、「花菖蒲」と呼ばれるようになりました。「花菖蒲」の漢字は、そんな菖蒲と関わりのある植物であったことを、物がったているのです。


江戸時代中期の元禄年間頃になると、庶民の間にも端午の節句を祝う風習が普及し、花菖蒲も節句の花として、普及するなかで徐々に発達してゆきました。


菖蒲の霊力により武運を願った甲冑の菖蒲韋(しょうぶがわ)

端午の節句の菖蒲湯

サトイモ科の菖蒲(ショウブ)

当園では、花菖蒲の発達の元となった菖蒲の文化を大切に考え、園内に菖蒲を多く植栽し、端午の節句の日に、
今ではほとんど見ることのできない、菖蒲葺きを再現しております。また、同時に「あやめ酒」と言って、日本酒に
菖蒲の根を浸し、その香気を移したをお酒を作り、旧暦の端午の節句にご来園されたお客様にお出ししております。


旧暦のの端午の節句には、あやめ酒をお出ししています。

端午の節句の菖蒲葺き(あやめぶき)

(あやめ酒の作り方)
日本酒に清々しい菖蒲の香りを移した、端午の節句の厄除けのお酒です。菖蒲には、食欲増進、疲労回復
などの薬効があります。また菖蒲湯は、冷え性にも効果的です。菖蒲の根さえあれば作り方は簡単です。
注意! サトイモ科の菖蒲の根を使用します。アヤメや花菖蒲の根では薬効も香りもありません。


菖蒲の根をきれいに洗う。酒一升に菖蒲の根およそ50〜100グラム使います。お好みなのでだいたいで良いです。

幅2mm程度に薄く刻む。
(これを布袋に入れ湯船につければ、菖蒲の葉よりも香り高い菖蒲湯になります。)

日本酒を注ぐ。わかりやすいようにボールを使っていますが、徳利に刻んだ菖蒲の根を数枚入れて酒を注いでもOKです。

30分程度たてば、菖蒲の香りが酒に移り出来上がります。長く漬けると菖蒲のあくで酒が薄く褐色がかってくるので、すぐに飲みきるようにします。

江戸時代後期の天保年間になると、江東の葛西領堀切村(現在の東京都葛飾区堀切)にて、日本初の
花菖蒲園が誕生しました。堀切の花菖蒲園は江戸人士の行楽の地として、以降、明治大正時代、堀切
には数件の花菖蒲園が並び、賑わいました。
こうした中で、行楽客の目を楽しませるため、花菖蒲はこの時代に改良が進み、発達しました。
そして、現在でも、江戸時代に改良された花が残っています。江戸っ子の心情が表れた花は、まさに江戸
の生きた文化財と言えます。


堀切菖蒲園花盛図 東京都葛飾区 郷土と天文の博物館 所蔵

当園では、江戸時代に堀切で栽培されていた文化財的な古い品種の保存を行うとともに、新しい品種の
育成に取り組んでいます。


昇 竜(のぼりりゅう)江戸古花

葵の上(あおいのうえ)江戸古花

四倍体金星(よんばいたいきんぼし)2004年当園作

紅 桜(べにざくら)1994年当園作

加茂花菖蒲園 〒436-0105 静岡県掛川市原里110
TEL:0537-26-1211 FAX:0537-26-1213

E-mail:kakegawa@kamoltd.co.jp

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