花菖蒲の作り方

 花菖蒲は日本で改良された園芸植物なので、日本の気候風土によくなじみ、栽培しやすい植物です。簡単に栽培法を紹介しますが、ポイントは、日当たりの良い所で育てること。水草と思わないこと。秋に十分肥料を与えること。株分けをかならず行うこと。の四つです。


植え場所

 半日以上日の当たる、極端に乾燥しない場所に植え、土の表面の乾燥防止のため、敷きわらで株のまわりをおおいます。花菖蒲はカキツバタと異なり多湿を好まないので、年間を通して水はけ悪い場所に植えると、根腐れを起こしやすくなります。逆に、乾燥の激しい場所では草丈が伸びず、株も弱ります。
 鉢植えでは、5〜6号鉢で、赤玉土7、バーミキュライト3の混合土などに植えます。日当たりの良い場所に置き、1〜2年ごとに必ず株分けして植え替えます。


水やり

 水草とよく間違われますが、花菖蒲は水草ではありません。花菖蒲園でも水をためるのは開花前から花が咲いている時期だけで、その後は水を落として畑作りします。一年中水をためると、根腐れしやすくなります。
 庭植えでは、年間を通じて、土の表面が極端に乾燥するときは水を与えます。鉢植えでは、水を張った浅い受け皿の中につけて底面から吸水させる「腰水管理」が楽ですが、あまり深いものは使わず、せいぜい1センチくらい水を溜める程度で十分です。時には受け皿の水が、乾いてなくなるくらいでいいのです。または、最初から少し大きめの鉢に植えるか、株が大きくなってきたら、一回り大きな鉢に鉢上げすれば、それほど水やりを心配する必要もありません。


肥料

 根付いてから施すのがポイントで、元肥は禁物です。花後に株分けしたものは、暑さが和らぐ秋口から中秋にかけて十分に施します。市販の化成肥料を置肥するなどして、株が充実するこの季節は肥料切れにならないよう注意します。分量は一般的な植物に与えるのとだいたい同じくらいに。
 また、春の芽出しから開花までは、秋よりも少なめに施します。


株分け

 花菖蒲の栽培で、いちばん大切な作業です。これを怠ると数年で株の生育が極端に衰え、花が咲かなくなるので、鉢植えでは1〜2年ごと、庭植えでも3〜4年ごとに必ず株分けを行います。
 花の咲いている頃からその直後が、株分け、植え替えの適期です。涼しくなり始める秋口から秋彼岸頃にも行えますが、それ以降に株分けや植え替えを行うと、翌シーズンに満足に開花しなくなります。
 それぞれの苗に根が付くように注意して、各々1〜3条程度の株に分け、葉を全体の3分の1程度に切りつめてから植え付けます。  また、庭植えの場合は、連作障害の対策として、それまで植え付けられていた所より、少しでも離れた場所に植え付けるのがポイントです。  


各季節ごとのポイント

 鉢植えの場合、5月頃から腰水管理にします。肥料は化成肥料などを、一般の鉢物に与える程度の量を一回施します。露地植えの場合もかるく一回くらい与えます。また露地植えの場合、メイチュウ防除のため、春先にオルトラン粒剤などを散布します。鉢、露地植えとも、開花時期には水があった方が草丈は伸びます。


 株分けは、なるべく梅雨明前までに済ませます。真夏は、鉢、露地植えともに極端に乾かさないように注意します。肥料は開花後に一度施し(株分けしないもののみ)、その後は秋口まで与えません。


 旺盛に生育して、株が充実する時期なので、鉢、露地植えとも、秋口より紅葉の頃まで、化成肥料などを与え、肥料切れにならないように注意します。


 枯れた葉は株元から刈り取ります。寒さには強い植物ですが、鉢植えでは極端な乾燥に注意します。肥料は与えません。

 以上、ごく簡単に書きましたが、詳しくは、『NHK趣味の園芸 ・作業12か月シリーズ ハナショウブ』など(書店にあります)を参考にしてください。 


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