長井古種(ながいこしゅ)

     江戸中期の花菖蒲の姿を今に伝える古系統


「長井小町」(ながいこまち)・白地にごくわずかに紫の筋が入り、鉾は紫となる小輪。長井古種の代表的な名花。


 各地に自生するノハナショウブの中から、花の色や形に変化のあるものを探しだして栽培するようになったのは、室町時代から江戸時代の始めの頃です。

 その後江戸中期にかけて、次第に園芸文化としてのまとまりを見せるようになりますが、この花菖蒲栽培初期の品種群と思われるのが、山形県長井市のあやめ公園に保存されている長井古種です。

 この長井より少し南に位置する飯豊町萩生(はぎう)という所では、遠く室町の頃より、野生種の中から見つけ出された美しい花色をもった花菖蒲が作られており、萩生の旧家では、花時になると庭に美しく咲いた花を自慢しては数寄者を招き合って風流を楽しんだと伝えられています。
長井古種は、これら飯豊町萩生の花菖蒲が、明治43年に現在の長井市あやめ公園の地に移され現在に至ったもので、無数の実生株から現在約30の品種が選抜保存されています。

 花色は多彩ですが、花形は原種のノハナショウブの面影を色濃く残し、野趣にとんだ爽やかな容姿が見所です。強健な性質を持ち放任栽培にも耐え、楚々とした風情は切り花や茶花にも好適です。



「あやめ・長井古種の由来」のページへ
山形県長井市・七色の日本美 長井古種のページへ


inserted by FC2 system