伊勢系(伊勢松阪花菖蒲)


「伊勢誉」(いせほまれ):伊勢花菖蒲の代表的名花。伊勢系の特徴である縮緬地の弁質と、くも手が顕著に現れる。伊勢松阪地方で古くから保存されて来た、「松阪古種」の一つ。


江戸系、肥後系とは別に、江戸中期、伊勢松阪の吉井定五郎によって栽培が始められ、以後この地を中心に発達していった品種群が伊勢花菖蒲です。
伊勢菊、伊勢撫子とならんで、のちに伊勢三品と言われるようになりましたが、いずれも花弁が下垂するという、この地方独特の好みで特徴づけられています。


伊勢花菖蒲の特色

花弁が垂れた縮緬地の三英咲きに特徴があります。また、「くも手」といって、雌しべの先端にトサカ状の切れ込みが見られるのも伊勢花菖蒲の特色です。葉と花茎の高さはほぼ同じ。男性的な肥後系に対して、伊勢系は女性的で繊細な美しさにあふれています。

伊勢系独特の花容表現
縮緬地の弁質
 これはちょっとわかりにくいかもしれませんが、つまり花弁の表面がつるつるというわけではなく、細かな凹凸があるということです。この特徴は開花第一日目にはあまりはっきりしていませんが、二日目、三日目と咲き進むに従いはっきりと現れて来ます。

くも手
 これはちょうど右上の写真の「薄化粧」の花の雌蕊の先に、細かい切れ込みがあることがおわかりいただけるかと思いますが、これを伊勢花菖蒲では「くも手」と呼び、名花の条件となっています。またよく見ると、上の「伊勢誉」の雌蕊にも、このくも手が見られます。


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